<ジェネシス招待 2日目◇18日◇リビエラ・カントリークラブ(カリフォルニア州)◇7322ヤード・パー71>
トータル9アンダーの4位タイで予選ラウンドを終えたアダム・スコット(オーストラリア)は、記者会見でベテランらしい言葉を並べた。
初日は、後半に上がり3連続を含む4バーディのラッシュを決め3アンダー・12位タイ。そして「このコースはとても快適。2日間とも落ち着いてプレーできた」と、勢いそのままに2日目も6バーディに加えボギーフリーと好ラウンドを続けた。午前スタートで「4時半にはベッドを出たよ」という早起きだったが、それすらも心地いい。
2013年のマスターズ覇者も、ここ2年は勝利から遠ざかっている。最後にトロフィーを掲げたのは20年に行われたこの大会。そこから節目のツアー15勝目まで足踏み状態が続く。「挽回しなければいけないことが山ほどあるけど、あと一歩のところにも来ていないんだ。これからが本番。36ホールでなんとかしたい」。それは本人も意識するところだ。
首位を走るホアキン・ニーマン(チリ)には7打差をつけられている。それでもツアーきっての紳士から、焦りを感じることはない。それどころか「静かに忍び寄るよ」と不敵な笑みすら浮かべる。
今年7月に42歳になる百戦錬磨のベテランが、大逆転も可能と考えるにはワケがある。「ここ10年ほど、逃げ切ることが難しくなっている。自分自身だけでなく、ほかからのプレッシャーもあるし、PGAツアーが注目を集めている今、そこから逃れるのは難しいこと。トップにいると『何が起こるかわからない』というプレッシャーもある」。自身も、首位からスタートした12年の全英オープン最終日に、15番から4連続ボギーを叩き逆転負けを喫するなど、苦い経験を積んできた。その人物の言葉だけに説得力も増す。
トップのニーマンは23歳で、2位のキャメロン・ヤング(米国)はこれまで下部で戦ってきた24歳のルーキー。ツアーでは若い選手が台頭し、練習場で見慣れない顔も増えてきた。そのなかにあって、経験が生きることも多々ある。「ずる賢くやるのは得意なんだ。僕はオールド・プロだから」という言葉も、そのことを感じさせる。
今週の戦いを終えると、すぐに会場から約1時間の距離にあるコースに移動し、月曜日には自身の名前が冠された「ユニクロ アダム・スコット ジュニアチャンピオンシップ」に参加。ゴルフ界の未来を担う若手育成に力を注ぐ前に、ベテランの味を感じさせたい。
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