<マルハンカップ 太平洋クラブシニア 最終日◇28日◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡県)◇7020ヤード・パー72> 国内シニア第6戦は、首位と1打差の7位タイから出た藤田寛之が1イーグル・5バーディ・1ボギーの「66」をマークして、トータル9アンダーで逆転優勝を果たした。これでシニアでは今季2勝目、賞金ランキングは1位に立った。 深堀圭一郎、谷口徹、宮瀬博文、桑原克典、横尾要ら藤田と同世代でレギュラーツアーでも長年活躍していた実力者が優勝争いを演じた。藤田は前半3つ伸ばすも首位との差は2打と逆に離される展開。「(優勝するには)バーディが必要」と思っていた11番パー5では、ティショットがフェアウェイバンカーにつかまりながらも、グリーンエッジまで235ヤードの2打目を5番ウッドで打ち、ピンそば1メートルに乗せてイーグル。一気に首位に並び流れを引き寄せる。 続く12番でボギーとするも13番ですぐに取り返すと、15番では5メートルのバーディパットを沈めて単独首位に立った。その後もスキを見せずに、後続は藤田をとらえきれずにそのまま逆転優勝が決まった。 「シニアの面白いところは、ゆるくやりながらも締めるところは締める。みんなプロゴルファーなので腹の中では勝ちたいという気持ちは必ずあると思うんです」。レギュラーツアーのようなバチバチとした雰囲気とは少し違うが、心の内に秘めたものは感じるという。 「その中で勝ち切れたのは気持ちが強かったのか、技術的にあれだったのか、今日の運がよかったのかね。あっ、朝のテレビでふたご座の運勢が1位だったんです(笑)」。ふたご座の藤田は運も味方につけながら実力を発揮し、同世代から頭一つ抜けた形になる。 「レギュラーを欠場してシニアに来ているので、結果を残さなければいけないプレッシャーは正直あるんですよね」。50歳を過ぎてもレギュラーツアーを中心に戦ってきた藤田。福岡県では歴代優勝者でもある「Sansan KBCオーガスタ」が開催されていたが、シニアの舞台を選んだ。同週でレギュラーとシニアが重なった時には初めてのことである。 この決断は6月にシニア初優勝を遂げたことが一因にある。国内シニアツアーの賞金ランキング上位に入れば、翌年のシニアの海外メジャーの道が開ける。「(レギュラーの)メジャーに19試合行かせてもらって、そこで活躍することを目標にしてきました。プロとして(シニアでも)その舞台を見たいし、出たいと思ったので、そこを一つの目標にしています」。9月までは同週で重なったときはシニアを優先して賞金を上積みして、来年の海外シニアメジャーを目指している。 海外メジャーという目標を設定したことで「気持ち的にも締まってきますし、やることも明確になる」とやりがいを感じるようにもなった。ただ、レギュラーも諦めているわけではない。今季ここまで賞金ランキング96位と出遅れているが、「レギュラーのシード復活も目標の一つです」。シニアの賞金ランク上位とレギュラーでのシード復帰。今年は二兎を追うことになる。(文・小高拓) <ゴルフ情報ALBA.Net>