今回は、ルール適合でどこまで反発を高めた?ギリギリと言っているけど新RSってホントはどう?
ALBAプレゼンツ、話題のクラブを多角的に検証「ギア総研」は、毎回違う角度でクラブを徹底試打ちレポート。どれが自分に合っているのか、悩めるクラブの見極め方を解説。
新たに6月から発売された「RS2017」ドライバー。前回はルール規制で「RS-F」が販売停止となったが、フェース設計にこだわった新作は、どんな飛距離性能を秘めているのだろうか?ギリギリの反発力とはどれほどのモノかを徹底検証してみた。
測定・試打 吉田洋一郎(日本ゴルフスイング研究所)
デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、レッスンメソッドを学ぶ。欧米の一流インストラクター約80名に直接学び、世界中のあらゆるスイング理論に精通。ゴルフギアの試打にも入念なギア狂人。
最新モデルのヘッド性能はどうなった?
ここでは新「RS」シリーズがフェース厚をどう設計して反発係数をどのように進化させたのかを調査してみた。
重心高さが標準的でやや重心深度が深いのが特徴。そのため、最適スピンでキャリーで飛ばせる。「深い重心なのである程度ミスヒットにも強い。重心角が大きいのでフェースが自然に返る。意外とスライサーなどにも使えそうな設計だと思う」(吉田)
重心高さが標準的で重心深度は標準的なのが特徴。こちらもキャリーで飛ばせる設計だが重心距離が長いことが異なる点だ。「それほどつかまりは悪くないですが、重心距離が長いぶん、フェースが返りすぎずに引っかけづらい。思い切ってアスリートゴルファーが振っていける設計だろう」(吉田)
重心深度:フェース面から重心までの深さ。重心深度が深いほどミスヒットに強くなる。35~36mmが普通の重心深度の数値
重心距離:ネックから重心までの距離。短いほどフェースコントロールがしやすく操作性が高い。35~36mmが普通の重心距離の数値
重心高さ:フェース面上の重心の高さ。重心が低いほど低スピンで強い球になる。35~36mmが普通の重心高さの数値
重心角:机の上に置いた際のフェース面の傾き。傾きが大きいほどフェースが返りやすい。25~26度が普通の重心角の数値
2016年モデルは中心部分の反発係数がやや低かった。2017年モデルではルールぎりぎりのCT値まで引き上げて広範囲に高い反発力を備えるフェース厚に設計
2017年のモデルは前作と何が違うのか? フェース厚を測定してみると、約1ミリほど中心部が薄くなっていることがわかる。「以前のモデルも広範囲に反発エリアを広めてミスヒットに強くしていたが、中心部のボール初速がやや低かった事実もある」(吉田)。そこでフェース中心部を薄く設計することで、高いボール初速を維持するエリアを広範囲にわたらせたのが、NEWモデルの進化した部分のようだ。つまりミスヒットの多いアマの平均飛距離を引き上げるモデルだろう。
クラウン前部が凹んでおり、インパクトでフェースの一部のように変形。たわみ量が増えて高初速エリアが拡大する
2017年シリーズの弾道はどうなった?
次はドライバーヘッドスピード41m/sのアマチュアを想定して2モデルを吉田が試打してみたが、実際の弾道にどんな違いが?
実際に両モデルを試打した吉田が指摘したのはスピン量の最適化だった。「重心がそれほど低くないので最適スピン量で飛ぶ。最近のボールは低スピン傾向でアマチュアはスピン量を確保できずにドロップしてしまうので、これくらいのスピン量で飛ばせる方がキャリーが安定して打てるため、ラクに飛ばせるはず。重心深度が深いぶんどちらも弾道は打ち出し角を確保できるのも魅力のひとつ」(吉田)。
ただ両モデルの違いに関しては純正シャフトの違いを指摘する。「『RS』は手元はそれほど硬くないが先がしなる。重心距離の短さとともに勝手にフェースターンするイメージ。すごく球がつかまるので、アベレージゴルファーでも使える。『RS︲F』は中元しなりの純正シャフトで先が硬い感じ。フェースコントロールしやすいので、左への怖さがない。先端が硬いぶんミスヒットにも強い」(吉田)という。あとはあなたの好み次第だろう。
「シャフトの先端が硬い影響で、『RS』モデルよりはスピン量はやや少なめで、中高弾道で飛んでいく。球はつかまるがチーピンは出にくい。反発エリアがかなり広い。トゥ側のミスヒットには特に強い」(吉田)
「純正シャフトは中元が軟らかくタメが作れない人にピッタリ。また先端が硬いため、ヘッドが暴れずに引っかけない」(吉田)
「スピン量が多くキャリーで飛ばせる。重心角が大きく純正シャフトもしなり戻りやすいのでフェースがターンして非常に球もつかまりやすい。打感が非常にソフトでもボール初速が速く、芯も広めだったのが驚き」(吉田)
「純正シャフトは先が軟らかくしなり戻り自然と走ってくれる。ヘッドとの相乗効果で球が非常につかまるイメージ」(吉田)