12月6〜7日の日程で開催される「LPGA新人戦 加賀電子カップ」。近年稀に見るスコアの伸ばし合いとなった2018年LPGAプロテストを突破した第90期生・21名が出場するが、それぞれの選手の個性を紹介する。
「スタートラインに立ちましたが、ここから稼がないといけない。一年遅れているので焦りがあります」
こう話すのは2度目のプロテストで合格を果たした臼井麗香。同い年の勝みなみ、新垣比菜、小祝さくらといった“黄金世代”の面々が早くも大活躍を見せているだけに、焦りは募る一方だ。
「ゴルフ関係の番組を見せられたり、幼稚園の頃には毎朝100回素振りをしたらハムスターを飼っていい、など両親から上手く誘導されて…」と、9歳からゴルフを始めた臼井。小学5年で70台、小学6年で60台と順調にスコアを伸ばしたが「正直毎日の練習は辛かったです。でもプロになるために続けている、プロにならないなら明日にも辞める…という感覚でした。小学校の頃から放課後に友達と遊ぶのは夢みたいな感じ。“いいなぁ”って。当時は親が迎えにくるのは“恐怖”だった(笑)」と当時を振り返る。
中学3年までは「気持ちが強くて、誰にも負けない!と。実際にはそうではないですけど“自分が一番上手い”と思っていました」と強気で過ごした。だが徐々に成績が出せなくなり、その自信も影を潜めた。
「練習を休んじゃいけない、成績を出せないといけない、というのが大前提。苦しかったです。学生時代で楽しいと思ったことは少ない。寝るとき以外はゴルフをして、ゴルフのことを考えていたので」
こう重圧と戦いつづけたが、高校卒業後に迎えたプロテスト初年度は、最終まで進出するも無念の不合格。「周囲からの期待もありましたし、自分自身を追い込みすぎていました」と原因を挙げる。いまでも細身だが、当時はさらにプレッシャーで現在よりも7kgほど体重が落ちてしまう状態だったという。
だが、この不合格が前向きにゴルフに取り組む転機となった。「少しずつ自立し、いま自分が取り組めることをしっかりと考えていこう、という気持ちに変わっていきました」。
2度目となる今季の最終プロテストでは、3日目にベストスコア更新となる「64」をマークし、余裕を持っての5位通過。
「合格が決まったときは、まったく実感がなかったです。去年あれだけ苦しい思いをしたのに、最終日に余裕を持って通ることができた現実との違いがありすぎて…。受かるときは、もっと苦しく、厳しい展開を想像していた。だから、こんな嬉しい気持ちで合格していいんだって思っちゃいました」
ひとまずホッとした気持ちはあるものの、すぐさま出てきたのが冒頭の言葉だった。
「小学校の時から同じ試合に出ているし、冬にはみなみやさくらちゃん、とかと2泊3日で大阪にいって、ユニバ(USJ)で遊んだりしていた」と普段から仲がいいだけに、その思いは余計に募ってくる。
「“黄金世代”で私の名前は挙がらない。ツアーで活躍して、まず自分の存在を認識してもらわないと。トップに立つまで、私は一生焦っているのかもしれないですね(笑)。でも、この世代でよかったと思っています。すごく刺激がもらえるので。少しでも追いつかないといけないし、早く強くなりたい」
切磋琢磨、といえば聞こえはいいが、一気に突っ走った存在を追いかける側としてはさまざまな感情が心を惑わす。それでも自分を信じて先を見据えるしかない。
雰囲気は落ち着いた印象だが「仲がいい子たちとは、はしゃぐことはありますよ(笑)。周りを楽しませたいタイプ」。目標はイ・ボミのようにみんなから愛される選手だ。「果敢に攻めるゴルフで、バーディで沸かせることができるプロになりたい、というのがずっと理想としてあります。ファンになりたいな、と思ってもらえたら嬉しいです!」。昔からの呼び名である“れいちぇる”と多くのファンから呼ばれることを願っている。
臼井麗香
〇1998年12月7日生まれ
〇栃木県出身
〇身長158センチ、体重48キロ
〇血液型:O型
〇ゴルフ歴:9歳〜
〇趣味・特技:ダンス
〇スポーツ歴:水泳
〇目標とするプロ:イ・ボミ
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