今季優勝した選手のスイングから強さの要因、そしてアマチュアが参考にすべき部分を探る“Playback LPGATour2018”。第19回は、今年の「日本女子オープン」を制したユ・ソヨン(韓国)。元世界ランク1位の実力を証明するかのような強さで日本タイトルを奪ったソヨンのスイングを、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が解説する。
元世界NO.1 ユ・ソヨンのスイングを連続写真で見る
元々、ソヨンのパット技術を「女子で世界一」と絶賛する辻村氏。今年の日本女子オープンでは、そこにパワフルさも加わった姿を披露した。「飛距離が伸びましたが、伸ばすだけのことを全部やっている」。辻村氏も、これまでとの変化についてこう語る。
そのパワーを生かすためのポイントが、体重移動にある。ゆったりと広めのスタンスから始動するスイングについて辻村氏は、「体重移動をしっかりとしているけれど、移動していないように見える」と前置きし、こう続ける。
「体重移動は、スタンスの幅のなかでしないといけない。狭くしたら狭い中で、広くてもその範囲ですることが重要です。ソヨンさんの動きを見ると、すごく軸がしっかりしているから、あたかも体重移動をしていないように感じさせます。下半身が安定して、トップまでしっかりと足にパワーが溜められていますね」
たしかに、どっしりと安定した下半身に無駄な動きは一切見られない。また、こうして溜めたパワーを無駄なくボールに伝えるためのポイントとして、ダウンスイング時のフォームにも注目する。
「ダウンスイングの時に、よくヘッドが立っていますよね。しっかりとヘッドを立てた状態でスイングするから、そのまま手首を返せます。ヘッドが寝て入ってきたら、こうは返せませんから」
日本女子オープン優勝時には、パターのほか、状況によって使い分けるという“5色のアプローチ”といった小技に注目が集まった。しかし、この時にはトレーニングにしっかりと時間を割いていることもソヨンは口にしていた。「今まで足らなかったパワーゲームに磨きがかかった」(辻村氏)と、さらに進化した姿を日本のファンに披露。こうして、圧倒的な優勝劇を演じることにつながった。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
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