2019年もまもなく終わりを迎えようとしている。渋野日向子の海外メジャー制覇に沸き、石川遼が復活優勝からの年間3勝。今平周吾が2年連続で賞金王戴冠に鈴木愛も2度目のマネークイーンに輝いた。プロツアーで多くの話題が生まれたシーズンだったが、見逃してはならないのが、アマチュア勢の活躍だ。
元祖スーパーアマチュアの宮里藍と古江彩佳【写真】
4月には金谷拓実が「マスターズ」に出場、安田祐香がそのマスターズの会場、オーガスタナショナルGCで行われた女子アマチュア大会で3位。安田はさらにアジア女子アマナンバー1に輝くなど、大躍進の1年となった。
さまざまなできごとがあった19年のアマチュアゴルフ界の10大ニュースを編集部厳選でお送りする。
■古江彩香が富士通レディースでアマ優勝
プロアマ問わず常に上位で戦いながら、タイトルに手が届かなかった古江が、同世代のなかで、最初にツアー優勝を果たした。6月の日本女子アマではクラブ破損事件にあい、海外試合でも安田らに先を越されていた古江だったが、一気にその名をとどろかせた。
10月の国内女子ツアー「富士通レディース」。初日を5アンダー・3位タイで飛び出すと、2日目にベストスコアの「65」をマークし単独2位。最終日は最終組でスタートし、この日もベストスコアの「67」をたたき出し、見事に逆転優勝。アマチュアの優勝は史上7人目。その後プロ転向し、わずか4試合で2000万円以上を稼ぎ出した。
■金谷拓実が三井住友VISA太平洋マスターズでアマ優勝
松山英樹の後を追うような実績を積んでいる金谷拓実。アジアアマ制覇からのマスターズ出場。世界アマチュアランキングでも1位に立ち、いまでは世界を代表するトップアマチュアにまで成長。そして、その才能がもっとも開花したのが、11月の国内男子ツアー「三井住友VISA太平洋マスターズ」での優勝だった。
3日目を終えて単独トップに立ち、最終日も終始上位争いを展開。バックナインに入っても同組のショーン・ノリス(南アフリカ)とバチバチの優勝争いを演じ、最終ホールで気合のイーグルを決めて、史上4人目のアマチュア優勝を果たした。
■金谷拓実がマスターズ出場で予選通過
18年に行われた「アジアパシフィックアマチュアゴルフ選手権」で優勝し、今年のマスターズと「全英オープン」の出場権を獲得した金谷が、日本人男子アマチュアとしては松山英樹以来、2人目となるマスターズ出場を果たした。
金谷は惜しくも松山と同じローアマ獲得は逃したが、予選突破から4日間を戦い抜き58位タイフィニッシュ。飛距離はなくとも正確性で一定の結果を出し、「もっと視野を広げていきたい」と、よりいっそうのレベルアップの必要性を感じ、夢舞台を後にした。
■安田祐香がオーガスタナショナル女子アマチュア出場
金谷のマスターズ出場からさかのぼること1週間。同じオーガスタの舞台に世界を代表する女子アマチュアが勢ぞろい。「オーガスタナショナル女子アマ」が初めて開催され、その中には日本が誇るアマ界のエース・安田祐香の姿もあった。
別コースで行われた予選を突破し、オーガスタの地を踏んだ安田。並み居る強豪の中で右と3位タイに入り、その実力を世界に見せつけた。「こんなにギャラリーがたくさんいるとは思わなくて、プロの最終日の最終組で回ったときよりも緊張しました。いままでで一番興奮しました。マックス、100でした(笑)」とした貴重な経験を生かし、その後の快進撃につなげた。
■オーガスタ3位の次は… 安田祐香はアジア女子アマで優勝
18年にはじまった、アジア太平洋地域のナンバー1女子アマチュアを決める「アジアパシフィック女子アマチュアゴルフ選手権」に出場した安田。第1回のシンガポール開催から舞台を日本に移し、茨城県で開催された大会で安田が圧倒的な力の差を見せた。
初日、2日目は寒さと風が襲う最悪のコンディションの中で本来の力を発揮できずに終わった安田だったが、それでも首位と4打差の5位。そして3日目には「67」のビッグスコアをたたき出し、2位に2打差をつけて単独トップに躍り出た。
迎えた最終日は、さらに強さを見せ、「65」をマーク。前半からひとり旅となり、2代目女王に君臨。「日本で開催された大きな大会で優勝できたのが一番うれしいです」と、夏に行われる海外女子メジャーの「エビアン・チャンピオンシップ」、全英AIG女子オープンの出場権を獲得した。
■古江彩佳が女子アマで災難 まさかのクラブ破損事件
安田、吉田らとともにアマチュア旋風を牽引したのが古江彩佳。春先からプロのトーナメントでも優勝争いに絡む活躍を見せ、満を持して臨んだ6月の「日本女子アマチュアゴルフ選手権」。初日からビッグスコアが飛び出す展開で「65」をマーク。3位発進を決めると、3日目を終えて首位と3打差。逆転を目指した最終日に突入するも、事件が古江を襲った。
アマチュア女子ナンバー1を目指す戦いのさなか。上位を追い後半に入った10番。気づくと、乗用カートに積んであったバッグのそばにヘッドカバーが落ちていた。見ると、お気に入りの3番ウッドが真っ二つに折れていた。
大会を主催するJGAの理事が運転するカートが接触し、なんとプレー中の古江のクラブを破損という、前代未聞に事件が発生。「もう自分のプレーより、悔しいやら、悲しいやらで涙がでてきた。歩いているときに振り返って悲しくなってしまった。去年から使っていたので、特に好きなクラブ。自分でもこんなに悲しいものなのか、と」。惜しくも5位に終わった古江は、この秋、悔しさを晴らす活躍で日本中を驚かせた。
■高校3年生の西郷真央が日本女子アマ優勝
古江のクラブ破損事件の裏で、女子アマチュア日本一に輝いたのは高校3年生の西郷真央。プラチナ世代のさらに1歳下の世代が、並み居る教護を抑えて、栄冠に輝いた。
西郷といえばジャンボこと尾崎将司のアカデミーで腕を磨き、堂々たるプレーが持ち味。ジャンボを前にしても物おじしない強心臓と、攻撃的なゴルフでプロテストにも合格。来年は開幕戦からその実力をいかんなく発揮するだろう。
■安田祐香がエビアン・チャンピオンシップでローアマ獲得
アジア女子アマ優勝の資格で出場した海外女子メジャーのエビアン・チャンピオンシップ。初めてのメジャーでも堂々たるプレーを見せたのは安田。「最初は予選通過を目標にしていたのでそれをクリアしてほっとしたし、トップ選手と戦えてすごくうれしい。初メジャーで(ローアマを)獲れたのはすごく自信になった」。
この後の全英にも出場した安田は、メジャー2連戦にも疲れを見せず、英国でも予選通過。ローアマこそ逃したが、この海外での経験を生かして、プロテスト、QTを難なく突破した。
■吉田優利が全米女子オープン出場
海外女子メジャーの「全米女子オープン」は日本で最終予選会を行っており、過去には山口すず夏らもアマチュアとして通過を果たしているが、今年も吉田優利が日本最終予選を突破し、本戦出場を決めた。
18年には「日本女子アマ」と「日本ジュニア」の2冠を達成。2000年度生まれのプラチナ世代の一角として安田らとともに将来を担うスター候補。ところが本戦を前に左手の親指を負傷。万全の状態で臨むことができずに予選落ちとなってしまったが、11月のプロテストに合格。来季はプロとして、さらなる活躍を目指す。
■杉原大河がチャレンジツアーでアマ優勝
東北福祉大2年の杉原大河が、アマチュアながら国内男子下部ツアーで優勝。アマチュアの男子下部ツアー制覇は、2010年に小平智が優勝した「鳩山カントリークラブ・GMAチャレンジ」以来9年ぶり。片山晋呉、小平に続く3人目となった。
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