<KPMG全米女子プロゴルフ選手権 最終日◇11日◇アロニミンクGC(ペンシルベニア州)◇6577ヤード・パー70>
畑岡奈紗が圧巻のゴルフを見せた。目標の一つとして掲げるメジャー大会制覇が確実に近づいた「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」。大会最終日は1イーグル・4バーディの「64」。トータル7アンダーの3位タイで終戦した。
首位との差は6打。「自分のゴルフ次第ではもしかしたら追いつけるのではないか」。期待を胸に攻めの姿勢を貫いた。結果はスタートホールから表れた。パー4のティショットをフェアウェイに置くと、ピンまで188ヤードのセカンドを5番アイアンで見事に沈めてイーグル。「入った瞬間は見えなかった」と振り返ったが、まさに、コース中を驚きに包んだ一撃だった。
その後も3番で1.5メートルにつけてバーディ。3ホールで3つスコアを伸ばして追撃態勢は最高潮に達したかに見えたが、風向きが変わったのは6番。グリーン右手前の難しいピン位置に対し2メートルにつけたが、これを沈めることができず。「難しいラインで打ち切れなくて。そこが決まってくれればもう少し流れが違っていたかな」。ここでパーに終わり、猛烈な逃げ切りを図るキム・セヨン(韓国)との差は縮まらなかった。
それでも9番のパー5で3.5メートルを沈めてバーディ。セヨンと4打差で折り返した。さらにギアを上げたいところだったが、10番パー4は一転ピンチ。ティショットを大きく右に曲げ深いラフ。グリーン左には池が待ち構え、畑岡がとった策は安全に右。グリーン脇まで運ぶと、そこからユーティリティを使った絶妙なアプローチ。ピンを一度は大きくオーバーしたが、傾斜を使って戻し50センチにつけパー。踏みとどまって奇跡の逆転劇に望みをつないだ。
ホールアウト後には「攻めの気持ちは忘れずにできました」と語ったとおり、後半も惜しいバーディパットを外しながら要所で2バーディ。「あと一歩届かないところはあったけど、今できるベストのことはできた」と悔しさと同時にすがすがしさもあった。畑岡を上回る「63」をマークしてトータル14アンダーまで伸ばしたセヨンには屈したが、ファイティングポーズを一度も緩めなかった畑岡のプレーは、メジャー制覇が確実に近づいていることを感じさせた。
2018年大会では最終日に8アンダーをマークし9打差を追いつきプレーオフで惜敗。昨年大会でもファイナルラウンドを「65」で締めた。今年もビッグスコアで一度も崩れることなく最後の18ホールを完走。「日に日に調子を上げて、ノーボギーで回れたのは良かった」と、相性のいい今大会でまたしても見事なプレーぶり。貫いた攻撃ゴルフについては、悔いはない。
先月の海外メジャー「ANAインスピレーション」では7位タイ。先週の「ショップライトLPGAクラシック」は4位。徐々に調子を上げて臨んだ今大会でも3位タイ。日本のエースは、確実にその存在感を示した。
期待は膨らむばかりだが、まだまだ21歳。「あまり焦らずに一歩一歩進んでいけたらと思います」。メジャー制覇、世界ランキング1位、そして東京五輪で金メダルと、目指すものははっきりとしている。このあとは日本に一時帰国し調整と試合出場を経て、12月の「全米女子オープン」で再びメジャー制覇に挑む。
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