コロナ禍の中で終えた2020年は、世界各ツアーが中止、中断、延期を余儀なくされた。試合数こそ少ないものの、今年も各試合でさまざまなドラマが誕生。その中から印象に残った名場面を、現場カメラマンが選定した。今回は米山聡明カメラマンが、宮崎で躍動した21歳を回顧する。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により無観客に加え、松山英樹や海外勢が来ないなかで行われた今年の「ダンロップフェニックス」。だが終わってみれば例年並み、いやそれ以上の熱気に包まれたトーナメントとなった。
その立役者が石坂友宏。日本ウェルネススポーツ大学3年生で、19年の「日本オープン」でローアマを獲得、同年のファイナルQTで25位に入りプロ転向したものの、ここまで話題になったとは言い難かった。
開幕4日前の日曜日、夕方5時に出場が決まった無名の大学生プロは初日から躍動した。予選ラウンドを単独首位で通過すると、最終日も金谷拓実と首位で並んでホールアウト。結局、プレーオフのすえ金谷に敗れたが、4ホールに渡る激闘も相まって大会は大いに盛り上がった。
ドラマを生んだ若き2人によるプレーオフ。撮影していた米山カメラマンに映ってきたのは、石坂の生き生きとした表情だった。
「石坂君のキラキラした目が印象的でした。初優勝がかかっている状況のなか、“負けたらどうしよう”といった負の感情ではなく、希望の光だけを見ているようでした。一方、実績バッチリの金谷プロのほうが、重圧を感じているようにも思えました。近い未来、ツアーを引っ張っていくであろう彼らのプレーは久しぶりに楽しい撮影でした」(米山カメラマン)
残念ながら今回は敗れてしまったが、21年は初優勝に期待がかかる。「来年がどんな状況となるか分かりませんが、キラキラした目でトロフィーを掲げる姿を楽しみにしています」と米山カメラマンも期待に胸を膨らませた。
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