<富士フイルム・スタジオアリス女子オープン 最終日◇11日◇花屋敷ゴルフ倶楽部 よかわコース(兵庫県)◇6390ヤード・パー72>
“負けん気”と“冷静さ”。これが稲見萌寧の2週連続優勝を支えた。トータル5アンダーで並んだ好調・小祝さくらを、またしてもプレーオフのすえにくだした。
18番パー4を繰り返す“延長戦”2ホール目。小祝が2打目のバンカーからのアプローチを、しっかりとピンに寄せたことを確認すると、自分のバーディパットに向かった。残りは8メートル。「最後は決めにいきました。これを決めないと勝てないと思った。入らなかったらもう1ホール。すべての体力を使うくらい気合を入れました」。ボールはキレイにカップに吸い込まれる。その瞬間、右手を高々とあげて喜びを爆発させた。
小祝に1打リードの状況で正規の最終18番を迎えたが、3打目のアプローチを2メートルまで寄せたものの決められずボギーを打った。気持ち的にガクッと来てもおかしくないが、「(プレーオフに)“もつれ込んだ”とは思わないようにしました。気分が下がってしまうので」とここで自らを保った。こう考えられたのには、こんな裏付けがある。
ここまでの4勝のうち2勝はプレーオフのすえつかんだもの。今回で3勝目となったが、その勝率は100%だ。本人も「(プレーオフには)自信があります」と言うほど。もともとが“追い込まれると力を発揮する”という性分。今回もプレッシャーがかかる場面に、「さくらさんとのプレーオフは楽しそうだな」と笑顔で向かっていった。
今週は開幕前から武器のショットが不調であることを訴え、今朝の練習ではテレビ電話をコーチにつなぎ見てもらったが「最後まで当たらなかった」と不安を残したままだった。
さらにたて続けの優勝争いや、前日28ホールを回った影響で、「ピークを通り越しました」というほど体には疲れが残っていた。この状況をアプローチ、パターで耐えしのぎ、「あまり奮い立たせると体力がきつくなるので冷静でいた」と自分をコントロールしながら乗り切った。
今後の目標は「メジャーで優勝」すること。またこの優勝で賞金ランクも4位(8574万3216円)に上がり、女王争いも視界に入る。それでも、「女王は常に勝ち続けたり、上位にいないと厳しい。まずは毎試合上位にいて、結果的にそうなれたらうれしいという考え方をしたい」とどんな時でも強さを発揮することをまずは目指していく。2021年は6試合中これで3勝。21歳は、まさにそんな存在になりつつある。
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