<パナソニックオープンレディース 初日◇30日◇浜野ゴルフクラブ(千葉県)◇6638ヤード・パー72>
下部ツアーで活躍を続ける黄金世代が、レギュラーツアーで、その潜在能力を開花するか? 植竹希望が世代10人目の優勝者候補に、一気に名乗りをあげた。
「風があまり吹いてなかったのでしっかり伸ばそう」と意気込んで臨んだ前半に3つのバーディ。さらに「耐えよう」と考えていたバックナインでも4つのバーディを積み重ねた。最終ホールとなった9番は、3パットでこの日唯一となるボギーを喫してしまったが、ジュニア時代から大会で頻繁に訪れ「回り慣れていた」コースで、6アンダーの単独トップに立った。
この日のパーオン率は94.4%。18ホールで失敗したのは、わずかに1ホールというショットメーカーだ。ここは本人も、「1番でないと気が済まない。18個乗って合格という気持ちでいつもやっています。きょうも1つ外したけど(15番)、自分のミスなのでそれが許せない」と最大の武器と考える部分だ。QTランク48位で、レギュラーツアーはこれが12試合目だが、すでに1063万2100円を稼ぐ。来週の試合に行われる第1回リランキングで、大きく優先出場順位があがることは確実な状況だ。
下部ツアーにも今季5試合に出場するが、昨年8月の「rashink×RE SYU RYU/RKBレディース」で優勝。それ以外もすべてトップ10と、上で戦う準備はすでにできている。ちなみにこの5試合でのパーオン率は83.7302%。「距離とかは違うけど、これはかなり自信を持っていい数字だと思っています」。これが原動力になっている。
ここ3年ほどは、アプローチ時に手が動かなくなる「イップス」に苦しめられてきたが、それも「今年のオフにほとんど解消されて、徐々に打てるようになっている」と快方に向かっている。「1人で考えるのが好き」という植竹は、この苦難もアプローチがうまい人のプレーを見てイメージを湧かせ、それを自らに取り入れるという“我流”で克服。「以前に比べてサンドウェッジを持つ機会がすごく増えて、(アプローチで)ユーティリティを使うことがなくなった」。これも今年自信を深める要因の1つになっている。
今年4月の「ヤマハレディース葛城」初日に、ぎっくり腰を発症し棄権。高校1年生の時に初めて痛みを覚え、ヘルニアも2カ所抱えるここがウィークポイントでもある。ただその後無理せずしっかりと3週間休み、さらに治療も続けたことで「90%」まで回復。心技体ともに、今は不安がない状態といえる。
「あまり気負わず、“来週に向けて”くらいの気持ちでプレーしたい。そうしないと緊張して手が動かなくなってしまうので気楽に」。初優勝へ向け最高のスタートを切ったが、それを意識せず2日目も戦っていく。「同級生にたくさん強い子がいるのは、闘争心も上がりますし、切磋琢磨してやっていけたら」と、他の黄金世代の活躍ぶりも刺激となっている。その新たな優勝者に名を連ねるチャンスが到来した。(文・間宮輝憲)
【黄金世代優勝者(優勝順)】
勝みなみ
畑岡奈紗
新垣比菜
大里桃子
河本結
渋野日向子
原英莉花
小祝さくら
淺井咲希
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