<バンテリン東海クラシック 初日◇30日◇三好カントリー倶楽部西コース (7,300ヤード・パー71)>
前日の練習ラウンドに引き続き、同組でラウンドした石川遼と中島啓太(日体大3年)。ここに、現在賞金ランキング2位の星野陸也が加わったが、石川が1アンダーの28位タイ、星野と中島が2オーバーの73位タイと好スタートを切ることはできなかった。
石川と中島はプロとアマという立場ながら、今大会では“勝ち負けにこだわらない”という共通点がある。石川は自分が納得するゴルフスイングを目指している最中で、一歩進んで二歩下がる状態を甘んじて受け入れているが、この日もショットの成功率に大きな差があった。しかし、「トータルで考えたら悪くないですし、少しずつよくなっている感じはします」と、石川らしさも見られた。それが17番パー4のセカンドショットだ。
ティショットがフェアウェイ左サイドに落ちたものの、傾斜に当たって左ラフにつかまる。ピンまでは打ち上げの175ヤードあり、運悪く右足をバンカーに入れて構えるしかないが、それだとツマ先上がりのライになる。ここで石川が選択したのは2週前の「ANAオープン」から使い始めている21度のユーティリティだ。本来なら220〜230ヤードの距離が残ったときに使うが、クラブを短く握り、クラブフェースをボールに当てることだけを考えて振り抜いた。「死に物狂いで方向を出しました」というボールはピンに向かって真っすぐ飛んでいく。グリーンに落ちた後も、方向は変わらず、ボールはピンをヒット。弾かれたためにカラーまで転がったものの、絶妙に距離感を合わせたところが、石川らしい好プレーだったといえる。
「通常のユーティリティよりもソールが広く、ラフからのショットでけっこう助かっていますね。パー4のティショットにも使いました」と、ニューウエポンの思わぬ働きぶりには満足気な表情を浮かべていた。
いっぽうの中島もスコアとは裏腹に、「すごくいい1日でした」と語る。その理由は、ドライバーショットの好調さだ。この日も14ホールでドライバーを使用。迷うことなく自分のスイングで振れたことがうれしかったという。中島が打つ前に気をつけていることは2つある。1つが曲がることを恐れて縮こまったスイングや、自信のないスイングを絶対にしないこと。2つ目が、たとえホールが狭くても自分が決めたスイングをイメージし、自信を持ってフィニッシュまで振り抜くことだ。要するに中途半端なスイングはせず、思い切りよく振るのだが、そのスイングをしてもしっかりとラインを出せるようになったため、納得したというわけだ。
さらに、ラフからのショットの距離感やパッティングのストロークに問題はなく、多くの収穫を得たという中島。順位的には大きく出遅れたが、ショットとパットのかみ合わせがよくなれば、いつでもビッグスコアを出せる予感は十分ある。(文・山西英希)
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