<アジアパシフィックアマチュア選手権 3日目◇5日◇ドバイクリークゴルフ&ヨットクラブ◇6986ヤード・パー71>
新成人の目標も、各大会に向けても、『準備』を何より大切にしてきた中島啓太。几帳面な性格は、ゴルフ以外も変わらない。「アジアパシフィックアマチュア選手権」開幕前から、小さく折りたたまれたA4用紙を持ち歩く。マーク・マコーマックメダル受賞式で大勢の人を前に行う英語のスピーチに備えて、心は優勝争いに負けないくらいドキドキだった。
アマチュア世界1位の称号として受賞したマコーマックメダル。アジアアマの最終日前日に行われる授賞式で、出場選手全員、そしてオーガスタナショナルGCの7代目チェアマン、フレッド・リドリー氏らを前にスピーチすることが決まっていた。
ドバイに着く前も本戦がはじまってからも、A4用紙に書いたスピーチ原稿を朝晩繰り返し音読した。ムービングサタデーの今日ですら、朝起きて6回も音読した。「もう、緊張は150%くらいです…」。いよいよ迎えた授賞式に、何度も深呼吸を繰り返す。歴代優勝者の映像がスクリーンに流れ、昨年同賞を受賞した金谷拓実の顔が流れた頃には、だいぶ気持ちは落ち着いていた。
壇上に上がってみたら、「思ったより緊張しなくて」と、一呼吸置いて口火を切る。会場の視線を一身に浴びながら、何度も繰り返し練習した英語のスピーチは、堂々と会場にこだました。大役を終えて、まずはほっと一息。「もうラクになりました。メダルを歴代で受賞された方に続けたのはうれしいです」と、やっと表情が緩む。
大会を訪れていたリドリー氏を始め、各界の大御所から祝福を受けた。日本中、世界中からの期待を背負って戦うアジアアマで、3日目を終えて単独首位。「来年はすごく大きな年になると思うので、もっと大きい年にするために、優勝するのがベストだと思っています」。授賞式を終えて帰るバスの中、しずかに外を眺めながら、きっと最終決戦に向けてのプランに考えを巡らせていたに違いない。(文・谷口愛純)
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