3月3日から行われる「ダイキンオーキッドレディス」で幕を開ける2022年の国内女子ツアー。だが、今年もこれまでとは大きく異なる点、注目すべきポイントが存在する。ということで「22年の女子ツアーで知っておきたいこと」を予習・復習しておこう。今回はあらゆる面で新たな指標となるメルセデス・ランキングについて。
これまでの国内女子ツアーにおいて、絶対的ともいえる指標になっていたのが、選手が稼いだ額=賞金ランクだった。長年『賞金女王』という称号を目指した激しい争いが繰り広げられてきたが、今年からその構図が大きく変わりそうだ。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は昨年末に開いた22年シーズン日程発表の席で、正式に『メルセデス・ランキング』(以下MR)をシード付与などの基準にすることを発表した。
昨季はシード付与基準に賞金ランクとMRを併用し、いずれかで50位以内に入ると、翌年のフル出場権(一部大会を除く)を手に入れられるというルールだった。それが今年からMRに一本化されるということになる。ちなみにこのランキングは12年から採用されており、協会は『JLPGAツアーの各競技及びUSLPGAメジャー競技での順位をポイントに換算し、年間を通じての総合的な活躍度を評価するランキング』とその性質を説明している。
3日間大会なら優勝者は200pt、2位は120pt、3位は90pt…といったように、順位に応じたポイントを予選通過選手(※)に付与。4日間大会ならその1.5倍(優勝300pt)、公式戦は2倍(同400pt)、海外メジャーは4倍(同800pt)とすることで“実力差”を反映できるような仕組みにしている。
ではなぜ、馴染み深い賞金ランクではなく、新たにこのMRを採用することになったのだろうか? それについて協会は『選手のモチベーションアップ』、『トーナメントの活性化』、『海外メジャーへの参戦奨励などのツアー強化』を挙げる。ただ「大会ごとに賞金額の差があり、選手から試合ごとの格差があるという意見をもらった」(JLPGA広報)という理由が大きそうだ。
今季からMR1位になった選手には4年間の複数年シードを付与。50位までの選手に翌年のフル出場権、51〜55位に入ると前半戦出場権が約束される。肝心の選手にこの変更について聞いてみた。昨季賞金女王の稲見萌寧は、「どれくらい頑張ればいいか分からないけど、“毎週上位にいなさい”という風にもとらえられる。あまりポイントは気にせず、順位を気にしていきたい」と話す。
これ以外にも、これまで賞金額で決められたリランキングや、「TOTOジャパンクラシック」、「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」出場権もすべてMRに移行。また賞金女王が手にしてきた複数年シードも廃止される。賞金の醍醐味だった“一発逆転”という要素が薄れることなども考えられるが、大きく様変わりするランキング争いに注目したい。
※=予選カットがない競技は、全出場選手に順位に応じたポイントを加算。決勝ラウンド進出者が70名以上の場合、70位以下のポイントは一律同ポイントとなる
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