スコアに直結する大事なクラブなのに、種類が多すぎて何を選んでいいか分からないのが「パター」ではないだろうか? ヘッドやネックの形状など、注目すべきポイントは多々あるが、今回はフェースの「インサート」について考えていく。
そもそもインサートの有無で何が変わるかというと、パターを単一の素材で作るか、複数の素材を組み合わせるかという話ではないかと思う。よく「インサート有は打感がソフト」といった話を耳にするが、アルミニウムのボディにステンレスのインサートを採用したようなモデルもあるため、一概に「ソフト」と語ることはできないだろう。
実際、単一素材で作ったパターであっても、軟鉄のようなソフトな素材であれば打感も当然柔らかくなるし、硬い金属であってもフェースのミーリング次第で、いくらでも打感は変化する。本来、パターの打感は、インサートの有無だけで語れるものではないのだ。
では、インサートの有無で何が変わるのか。それはヘッドの設計自由度だろう。
パターに限った話ではないが、比重の違う複数の素材を組み合わせてヘッドを作るのは、性能面で大きなメリットがある。それはヘッドサイズに関係なく、ミスヒットへの強さを出したりと性能を高めることが可能になるからだ。
最新モデルで言えば、オデッセイの『TRI-HOT 5K』シリーズがその最たる例となっている。『TRI-HOT 5K』では、比重の大きいタングステンをヘッド前方やトゥ・ヒールに配置することでブレード型にも関わらず、マレット並みに高い慣性モーメントを実現している。そんな設計ができたのは、比重の軽いアルミニウムを使ったり、軽く打感がコントロールしやすい「ホワイトホットインサート」を採用することで余剰重量を生み出しているからだ。
実際、『TRI-HOT 5K』シリーズのパターを打つと、慣性モーメントの高さからか、ヘッドの入りが一定して、コロがりが明らかに安定しているように感じられる。モノとしての性能を考えたときに、インサート有のパターはかなり優位にあると考えてよいだろう。
とはいえ、それだけで語れないのがパターというクラブでもある。たとえば、インサート有で性能を高めたパターは、芯を外して打っても、それが感触として伝わりづらいという特徴がある。これはメリットであると同時に、人によってはデメリットと感じるかもしれない。
ゴルフで上達するには、スイングしたときに、芯で打てたかどうかのフィードバックがあることは非常に重要。その意味で、単一素材で削り出したインサート無しのパターは、芯が色濃く感じられて、その分、打点のズレがわかりやすい。削り出しのパターを好むプロが多いのも同じ理由で、ストイックに自分を高めようと思ったら、ミスがしっかりミスになったほうが良い場合もあるのだ。
何にせよパターはさまざまな距離を打ったり、あえて芯を外したりと入念に試打をするのがおすすめだ。可能なら、普段使用しているのと同じボールで試打できると、自分にとって心地よい打感のパターを選びやすくなるはずだ。(文・田辺直喜)
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