<ブリヂストンレディスオープン 初日◇19日◇袖ヶ浦カンツリークラブ 袖ヶ浦コース(千葉県)◇6713ヤード・パー72>
どん底、大不振。そんな状態から救ってくれたのが師匠の言葉だった。初日のラウンドをボギーフリーの6バーディで回った林菜乃子が、6アンダーの単独トップで2日目に向かう。
昨シーズンの賞金ランキング53位、メルセデス・ランキング52位で今季の前半戦出場権を獲得し、開幕戦から戦っている林。2戦連続予選落ちのあと15位タイに入るも、その後は6戦連続予選落ちと苦しい期間に襲われた。だがそんな林を見かねた師匠の芹澤信雄がキャディを務め、アドバイスを送ったメジャー大会「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」。3日目に7位タイに浮上し、最後は14位タイに終わったが、ここから潮目が変わった。
不振の原因は分かっていた。「昨年は(前半戦出場権を得る)準シードを取れたのに、シードではないというマイナスイメージで、足りないところばかりオフに取り組んだ。そうしたら調整が間に合わずに開幕してしまった」。アジャストできないと結果が出ないのは当然で、それがさらに焦りを呼び、泥沼にはまっていった。
フェードヒッターの林は、「飛距離が出るほうではない」と自身を分析。ところが、“足りない部分”のひとつとして飛距離不足を実感し、「つかまったフェードを打ちたいと思った」と正確性で勝負すべきところに、パワーアップがちらついた。その結果、フェードがかからず左に大きく曲がるチーピンに悩まされ、それを嫌がり右に押し出すという事態に陥った。
そんな状態は林の自信を奪い、縮こまったゴルフが身についてしまう。そこで師匠からゲキが飛んだ。「自分がどれだけビビってゴルフをしていたかを教えてもらった。サロンパスでひとつ、きっかけをつかめました」。その翌週の大会2日目には、予選通過が厳しくカットライン上でのプレーが続いたなか、最終ホールで8メートルを沈めて決勝ラウンド行きを決めた。
壊れてしまったフェードボールの修正では、基本から見直した。ひたすら小さいスイングから左ワキを空けない動作を繰り返した。「いまでも続けています」とこれは今後も続けていくつもり。「確認作業を続けていかないと」と師匠からも言われている。さらに芹澤から言われた「ここでやれる幸せを噛みしめろ」という言葉も常に念頭に置いている。
ようやく開けてきた視界だが、距離が長い今大会の初日に飛び出した好スコアには「自分でもビックリ。フェアウェイをキープして、パーを拾っていけばいいと思っていたので」と、“出来すぎ”を強調するが、今の林はとにかくやるだけ。今週の火曜日には25歳の誕生日も迎え、「後悔ないように1日1日を大切にしたい」と決意を固くした。
『今週も気合を入れてガンバレ』。師匠からの言葉を忘れることなく、ステージを上がるために奮闘を続けていく。
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