<日本女子オープンゴルフ選手権 最終予選 最終日◇30日◇石坂ゴルフ倶楽部(埼玉県)◇6615ヤード・パー72>
8月29日に24歳の誕生日を迎えた河本結が、「日本女子オープン」(9月29〜10月2日、千葉県・紫CC すみれC)の出場権をかけた最終予選に参加。2日間をトータルイーブンパーで回り、43位タイで上位57人に与えられるチケットをつかんだ。
ビッグイベントが2つ続いて迎えたラウンドだった。その1つが予選初日に迎えた誕生日。友人から音声メッセージのほか、両親そして弟・力も加えた手紙を受け取り感激した。その弟といえば、姉のバースデー前日となった28日に、福岡県で行われていた国内男子「Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント」でレギュラーツアー初優勝を挙げたのだが、もちろんこれも大きなできごとの1つだ。
優勝を決める前に弟がしたためた手紙には、『早く優勝して報告したい』という一文も。その直後の、まさに有言実行となる勝利だった。さらに「私の弟でいられてよかったって書いてあって、それを見た時にグッときました。私もそう思っているのでうれしいなって」と、胸もポカポカ。「サプライズでした。両親も私のすべてを見て応援してくれているんだなと感じることができましたし、こんなに幸せな誕生日は生まれて初めて経験しました」と振り返るかけがえのない一日になった。
弟のウイニングパットは、「ニトリレディス」出場のため滞在していた北海道からYouTubeで観戦。勝利を決めた瞬間、涙が止まらなくなったという。「本人と同じくらい、弟が勝つと信じてました。自分を信じるより弟を信じる力のほうが強かった」。そしてこのできごとが、大事なことを思い出させてくれた。
「自分のことも信じないとなって思えました。今の私のゴルフで一番足りていないのが“心”なのは分かっている。恐怖や不安、そういうものを消してくれるようなできごとでした」。米国ツアー参戦などもあり、2020年、21年が統合された昨季にシードを喪失。今季も本調子とはいかず、トップ10はわずか1度で、現在メルセデスランキングでもシード圏外の63位と苦しい位置につけている。そこからの浮上に、自信回復は欠かせない要素といえる。
攻撃的な魅せるゴルフを信条にツアー初優勝を挙げ、賞金ランキング6位になった19年のような気持ちを取り戻すため、弟の雄姿が“力”になった。「まずは優勝争いを目指して、今年はとにかく1勝したいです。心の部分が大事。ゴルフは人生そのものだけど、人生はゴルフがすべてではない。人としてもプロゴルファーとしてもすてきな人になりたいですね」。24歳になった直後に誓った心機一転。次は自分の勝利の味を、ひさしぶりに噛みしめたい。(文・間宮輝憲)
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