<ポートランドクラシック 事前情報 14日◇コロンビア・エッジウォーターCC(オレゴン州)◇6478ヤード・パー72>
コースに西日が差し込みはじめた午後5時28分。渋野日向子は一日の締めくくりとして行ったアプローチ練習を切り上げ、コースを後にした。午前10時45分にスタートし、9ホールをプレーしたプロアマを終えたのが午後1時30分を回る少し前。軽い昼食を挟み、午後2時頃から実に3時間30分にも及ぶ特訓だった。
「予選落ちが続いているので、ここでしっかり(流れを)変えたい」。先週までのオハイオ州での2連戦はともに週末に進むことができず悔しさをかみ殺した。その言葉にもある決意が、疲れた体を突き動かしたようにも見える。すでに月曜日からの3日間で、2度のプロアマと練習ラウンドの計45ホールをプレー。前日は18ホールを回った後に1時間30分の特打ちを敢行し、さらに最後も「みっちり」と仕上げた。その間は、時折チームメンバーと確認のための会話をすることはあったが、基本的には黙々とクラブを振り続けた。
その3時間30分のうち、2時間以上を過ごしたのがショット練習場だ。先週からの課題の一つに「アイアンショットの距離感」を挙げるが、弾道計測器や動画を駆使しながらイメージとのすり合わせを繰り返す。「抑え目のショットの時に、少しタイミングが合わずに左へひっかけることがあった。タイミングを合わせたくて、その部分を多めにやりました」。2週前に使用し始めたばかりの新アイアンとの感覚合わせも含め、ここに多くの時間を割いた。
「どれだけショットでパーオンしてバーディが獲れるか。グリーンが止まるぶん、狙えるからショットの距離感が大事」。フェアウェイなどもキレイに仕上がっており、「こっち(海外)の選手はやばいから、とんでもないスコアを出す(笑)。一日に一桁の後半だす人もいると思う」とバーディ合戦を予想する。それに食らいつくためにも、不要なミスは避けなければならない。
また先週からのもう一つの宿題だったショートパットも、今週、徹底的にチェックした。「ロングパットも、ショートパットも打ち出しの練習をして、ちょっとずつよくなってきている…と思いたい(笑)」。すぐに“完治”を実感するのは難しいが、それでも上昇の気配は感じとっている。
山火事の影響で54ホール競技に短縮された2年前のこの大会に出場したことはよく覚えている。「練習ラウンドをしていてもこんな感じだったなとか、バーディを獲ったなとか、(最終日の3番で)4パットしたなとか(笑)」。その時は24位とまずまずともいえる順位で終えた。そんな思い出深い地で、悪い流れは断ち切っておきたい。その気持ちを体現する一日だった。
「かなり仕上がっているしグリーンは速いし、でも止まる。ラフもそれなりに長い。マネジメントのしがいがある」と腕をぶすコースは、フェアウェイが狭くしぼられている場所もあり、ティショットではドライバー以外を握るホールもいくつか想定する。「一日一日いいゴルフができるように」。気合もみなぎる。この開幕前に費やした時間を、きっちりとスコアに変えてみせる。(文・間宮輝憲)
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