今回はキャロウェイのマーベリックMAX!全く同じヘッドでございます。なぜ同じものを2本試打するのかというと、この試打職人で最近私がよくやっております日米モデル比較。日本人のゴルファーのために作られた日本モデルと、本国仕様のUSモデル、この違いをじっくりと打ち比べます。日本のゴルフショップでは一般的には日本モデルを取り扱っていますが、手に入れようと思えば、並行輸入品としてUSモデルも入手できると思います。今回試打する2本ですが、じっくり見たり、構えてみたり、色を見たりしても、ヘッドが全く同じ。変わりません。
それでは何が違うのか。一番の違いはシャフト!昔から言われていますが、日本モデルは日本のゴルファーに合わせてシャフトをチューニングしています。日本モデルのマーベリックMAXに標準でついているのが三菱ケミカルのDiamana(ディアマナ)。当然ですが日本仕様というのは少し軽くて柔らかい。今回試打するのは両方ともRですが、手でヘッドを押してしならせてみると、日本モデルは本当に柔らかいです。日本モデルのRシャフトは日本のゴルファーでヘッドスピードが38~40m/sぐらいの方が打ちやすいように作られています。それに対して、USモデルの同じRシャフト。Rというのは何の意味かというとRight(ライト)ではなくてRegular(レギュラー)です。同じようにシャフトをしならせてみると、痛い、痛い!腰にきました。黒田カントリークラブさんみたいに私もこれでギックリ腰になるわけにはいかないんですけど、それぐらい硬いです。僕は人間計測器と言われていますが、しならせた感じだと2フレックスくらい違います。昔は1フレックスの差、アメリカのR は日本のSと言われていたんですけれど、これは2フレックスくらい差があります。先ほどの日本モデルのRを基準にすると、USモデルはもうSを飛び越えてSXやX(エックス)に近い。もしこのUSモデルのRを基準にすれば日本モデルのRは、L(レディース)に近いぐらいの硬さ。皆さんまずそれを頭に入れておいてください。
マーベリックMAXの特徴は、これはもう USモデルも日本モデルも一緒なんですけど、マーベリックの中で一番MAX。 慣性モーメントがMAX。優しさがMAX。一番の特徴はストレッチヘッドといって、ヘッドの奥行きが深い。フェースも非常に面長です。見るからに大きな円を描いていて、ルール適合なんですけれど、俄然ヘッドが大きい。
日本モデルをワッグルすると、ヘッドスピード40~42m/sくらいですね、42m/s以上打ってはいけませんよ、打たないでください、という感じでしなります。それに従って僕も40~42m/sくらいで打ってみましょう。見るからにヘッドが大きくて、構えるとやさしさを感じます。 打ってみます。しなるわ、これ!柔らかい。ふわっと打ちたくなるんですよ。当てに行っちゃだめです。しっかり打つけど、力まない。もう一発打ちます。ヘッドスピード41m/sで230ヤード。シャフトのしなりが、41m/sでもしなりすぎるくらいです。40m/sくらいで打ちます。しなる!柔らかいだけでなく、先がすごくしなります。
ヘッドスピード41m/sで233ヤード。もう少しスピンを減らせば250ヤードくらい行きそうですね。打ちます。ヘッドスピード41m/sで248ヤード!スイートエリアは広いですが、フェースの下で打ってしまうとスピン量は増えます。今は、フェースのセンターより少し上でした。ここで打つと、ヘッドスピード41m/sで約250ヤード!AIフェースのおかげもあるけれど、やはりクラブの設計がしっかりしています。弾道は9.7ヤードレフトですね、ドロー、つかまっています。これはいい感じだな。ヘッドスピード41m/sで250ヤードはすごいですね!
もう一回打ちます。おお~!!スマッシュファクター1.51!60歳を過ぎましたけど、人間試打マシーン(シニア)健在です!ちゃんと球がドローの強い感じで出ました。
シャフトの特性で、ヘッドスピード38~42m/sくらいで打った時に最もシャフトがキックします。キックはすごく大事です。キックを生かすためにもシャフトのしなりを利用しないと、ボールはつかまらないし、効率よく飛びません。41m/sで約250ヤード飛びましたね。どうしてそんなに軽く振ってるのかと思われるかもしれませんが、軽く振っているのではありません。これくらいで振ると、いいパフォーマンスが出ます。
試打に使うボールはおなじみNEXGENのD-SPECです。では、USモデルを打ってみましょう。シャフト、しならん(苦笑)!そしてグリップが太い!グローブサイズ25の僕でちょうどいい。さっき試打した日本モデルは23くらいの人にちょうどいい。それくらいグリップの太さが違います。日本モデルと同じヘッドですが、ワッグルした時に手強いなと感じます。手強さを気にしないで、まずは軽めに打ってみます。いや、軽めに打てない!シャフトがしっかりしてる~。あれ、意外と飛んでない。もうちょっとしっかり打ちたいですね。ちょっとスピン量が多い。右に出てますね。今度はつかまえました!41.4m/sで256ヤード。
プロや上級者がよくシャフトが変わると球が変わると言いますが、あきらかに違います!日本モデルは先端が柔らかいのでシャフトでも玉をつかまえられる。それに対してUSモデルのシャフトはmamiyaのHelium。先がしっかりしているのでつかまりすぎない。アメリカはパワーがある人が多いので、ダフったときに先端が折れてしまう可能性があります。安全面も考慮してUSモデルのシャフトは先端が硬いのではないかと思います。
シャフトのブランドで違うわけではありません。 僕は試打するときにはできるだけヘッドスピードを変えたくないんですけど、シャフトが硬いとどうしても切り返しの時にグッとアクセルを踏んでしまいます。試打でフルスロットルはあまりやらないんですが、やってみましょうか。ヘッドスピード43m/sくらいしっかり打っても大丈夫です。USモデルのシャフトHeliumのRは、日本モデルのSよりも硬いです。しっかり叩ける。無理してつかまえてもそんなにつかまりすぎない。
今回試打したマーベリックMAXの日本モデルとUSモデル、リアルロフトもヘッドの重量も変わりません。シャフトとグリップの太さで味付けが全然違います。USモデルの方がいいと思っている方もいるかと思いますが、シャフトが適正ゴルファーを決めます。もちろん、ロフトが決めるんですが、今回の場合ロフトが同じですから、シャフトで決める。あとはグリップの太さです。
日本モデルはヘッドスピードが38~41m/sくらいの人が振った時にシャフトがちょうどよくしなります。日本のゴルファーに限らず、世界中のヘッドスピードが38~41m/sのゴルファー、シニアゴルファーは迷わず日本モデルのRがおすすめです。
USモデルはヘッドスピードが40m/sではきついです。打てなくはないけど40 m/sだと硬いなと思います。やっぱり打ちこなすにはヘッドスピードが最低でも42 m/s。42 m/sでもきついかもしれない。まあ幅を見て42~45 m/s、46 m/sでも打てるくらいです。ヘッドスピードが42~46m/sのゴルファー、しっかりしたシャフトが欲しい人、左に行きにくいシャフトが欲しい人にはUSモデルがおすすめです。
キャロウェイはワールドワイドな会社ですから、きちんと棲み分けがなされています。ぜひこの試打動画を見て、自分にはどちらが向いているかじっくり考えてみてください。
マーク金井 (プロフィール )
1958年9月16日生まれ身長183センチ、 大阪府出身、血液型A型。ゴルフ雑誌編集者を経てフリーに転身。これまで試打したクラブは1,000本を越える。豊富な知識とシングルの腕前でクラブの試打&レポートをゴルフ雑誌やネットで展開。