今回はSIM MAX の日米モデル打ち比べです。SIMとSIM MAXの打ち比べではなく、日本モデルとUSモデルを打ち比べます。米国で売られているクラブと日本で売られているクラブ。同じテーラーメイドのSIM MAXですが同じなのか、それとも何か違うのか、その打ち比べを今回じっくりしてみたいと思います。 まずですね、ヘッドを見ます。昔はね、ヘッドの塗装とか色が違って一目で日本モデルとUSモデルの違いがわかりましたが、今回は2本のまちがい探しをしても分かりません。それぐらい同じに見えます。たぶん変えてないんだと思います。それでは何が違うのか。今回の2本はシャフトの硬さも違うんですけど、日本モデルは三菱のTENSEI、USモデルはフジクラのVENTUS。
僕らがUSモデルと日本モデルを比べるときにはまず、胸の前で上に向けた左右の手のひらで支えてクラブの重さを確認します。アマチュアゴルファーはよくワッグルして重さを確認しようとしますけど、これではヘッドの効き具合は確認できますが、クラブ全体の重さを確認したければやはりこうやって持った方が全体の重さをチェックできます。
持ち比べると明らかに日本モデルの方が軽いですね。これはやはり日本のゴルファーに合わせて、重さを変えている。そうですね5~10グラムくらい軽い感じがします。300 グラム切っていますね(※296グラムです)。対してUSモデルは、まぁズッシリというほどではありませんが、5~10グラムくらい重いです。昔は20グラムぐらいUSモデルの方が重かったんですけど、今は適度な重さの違いがあります。
決定的に違うのはグリップ。グリップはUSモデルのほうが太い。日本モデルのほうが細い。私はグローブサイズが25でアメリカ人の平均サイズと同じくらいなので、握り比べるとUSモデルのほうがいい感じ。グリップはあとで変えられますけれど、このままの状態で比べたときにはUSモデルのほうがグローブのサイズが25の人にはいい感じです。日本人ゴルファーのグローブのサイズは 23くらいが多いと思うんですけど、グローブサイズが23くらいの人だと日本モデルのグリップの太さがちょうどいい。やはりマーケットに合わせたグリップの太さになっています。グリップっていうのはゴルフクラブとゴルファーとの唯一の接点ですから、大事です。
では実際打ってみてどう違うのか。これはシャフトが一番に影響してくるんですけれど。まずは日本モデルからいきます。ボールはネクスジェンです。SIM MAXはヘッドが大きいんですけど、すごくすわりが良くてフェースの向きがきれいにまっすぐに向いています。少し軽めのスイングでいきましょう。しなる!しなるなぁ。思ったよりしなりました。もう一発行きます。やっぱりSとSRっていうのでもだいぶ違いますね。ここまでしなるので球が高く上がりますね。うん、ちょうどいい高さ。ヘッドスピード42m/sぐらいで打って237.7ヤード。
少しヘッドスピードを上げてみます。このSRの場合だと43m/sもいらないかもしれない。40から42m/sぐらいの人が振りやすい感じですね。ちょっと強めにいきます。うん、タイミングよく振れましたね。43m/sで253.6ヤード。
スピン量は2540と程よいスピン量です。特徴的なのがこのローンチアングル、打ち出し角度ですね。打ち出す角度。これ、ロフトが9度の割に球が上がります。それはなぜかと言うとこのシャフトの先端側の挙動です。日本向けということもあり、フレックスがSRということもありまして、しなり戻りが大きい。しなり戻りが大きいので打ち出し角度が高くなっています。
ではUSモデルはどうなのか。これは比較論として見て頂きたいんですけど、シャフトが硬いというだけで、ヘッド以上にクラブが手強いなと感じます。これは軽く打つよりしっかり打ちたくなる。その辺も踏まえてまず最初は少し軽めにいってみます。これはね軽く打つのは実は結構難しいんです。うん、軽く打つのは難しい。明らかに打ち出し角度が低いですね。
もう一発いきます。これはね、棒に近いです。ヘッドスピード42m/sだとほとんどしなりを感じませんでした。もう一発。少ししっかり打ちました。しっかり打ってきれいに入って、打ち出し角度が1度増えました。たった1度と思わないでください。実際打つと1度って結構変わるんですよ。やはりシャフトがしっかりしている分だけ、しなり戻りが少なくて球が前へ飛びます。弾道の高さはロフトの影響が一番大きいんですけれど、シャフトでも弾道の高さに差が出ます。この日本モデルとUSモデルでは、シャフトの硬さで球の打ち出し角度が違います。あとはやはりデータを見てはっきり分かるのが、球が左に行きません。
どちらかというと少し右にフェードしています。これはシャフトの先端も硬いんでしょうね。ヘッドが同じでも、シャフトの先端側の硬さは球のつかまりにも影響します。USモデルのほうが球がつかまりにくい。逆にいえば叩いても左に行きません。
今回打ち比べたSIM MAXドライバー、USモデルの魅力というのは、重さが適度にある、シャフトが硬い、グリップが太い。割と大柄な僕が打っても大きいです。日本製だとちょっとグリップが細いな、シャフトが少し弱いなという人、体力的に米国人に近い人はやはりUSモデルのほうが打ちやすいと思います。
平均的な日本人のゴルファー、特にヘッドスピードが43m/s以下の方でしたらもう僕は迷わず日本モデルをおすすめします。 わざわざグリップが太いのを買って細いのに変えたり、硬いシャフトを柔らかいのにリシャフトしたりするのももちろんありと言えばありですけれど、やはり純正というのはクラブ全体のバランスを考えて作られていると思うんです。なので純正状態で使うのであれば、日本人の体型、日本人のヘッドスピードには日本モデル。
日本人の規格よりも大きい人、手の大きい人、球がつかまりすぎて左に行くのが嫌な人にはUSモデル。 同じヘッドでもシャフトとグリップを変えることで適したゴルファーがハッキリ分かれている。チャンスがあれば打ち比べてみていただければ、この違いが体感できると思います。
マーク金井 (プロフィール )
1958年9月16日生まれ身長183センチ、 大阪府出身、血液型A型。ゴルフ雑誌編集者を経てフリーに転身。これまで試打したクラブは1,000本を越える。豊富な知識とシングルの腕前でクラブの試打&レポートをゴルフ雑誌やネットで展開。