今回試打するのは、タイトリストのT100Sアイアン。見えにくいですが、赤い文字でSと書いてあります。タイトリストのT100アイアンは、以前も試打しています。現在タイトリストはTシリーズがメインですが、以前はAP2が人気でした。ジョーダン・スピース他、有名なプレーヤーがたくさん使っていた大ヒット商品であるAP2の後継モデルがT100です。今回新たに出たのがT100S。何が「S」なのか? T100とT100Sは、ソールやネックの長さ、フェースの大きさを比べてみても、何も変わらない。ロフトを見比べたときに、なるほどと思いました。T100Sの「S」はストロングロフトのSです。
タイトリストのT100はツアーモデルなので、いわいる飛び系アイアンではありません。AP2もT100も、7番でロフトが33度。僕が知る限り、一番ロフトが多い部類です。今はスタンダードなモデルで7番アイアンは30度くらい、飛び系と言われるアイアンでは26度とか27度です。それに比べるとAP2もT100も2番手くらいロフトが寝ています。プロは33度の7番アイアンで170ヤードとか打つんですけどね。アメリカでもT100Sアイアンが出ているときいていますから、どんどんロフトが立つ波が来ているんでしょうね。アマチュアゴルファーの高齢化なのか、求める飛距離なのか、いろんな要因はあると思います。 ゴルファーの選択肢の一つとして今回T100Sが出ました。ロフトが立っていると言っても2~3度ですね。30~31度でしょう(※編集注:31度です)。飛距離にして8ヤードから10ヤードくらいの差ですね。試打してトラックマンで飛距離を見てみましょう。今回もボールはネクスジェンD-SPECを使用します。
T100アイアンから打ちます。見た目は普通ですが、重心をいい位置に持ってくる仕掛けがしてあるとメーカーが言っています。AP2もそうですが、ソールはあまり広くないけどバンスがあってちょっと丸いんですよ。バンスがありつつ抜けがいいというのがT100の特徴です。人工芝でも抜けってわかるんですよ。わー太いな。キャビティなんですけど、まん中がえぐれていなくて2段になっていてマッスルバック風であり、実際打った時の球を包む感触、これはAP2譲りですね。う~ん、道具でスコアが決まるわけではないんだけど、しっとりとした打感とか、シャープなヘッドが好きな人には、T100はたまらないんだと思います。顔がいいですね。うん、150ヤード。33度だと僕の8番アイアンくらいです。普段7番は30度を使ってますから。T100の7番は僕にとっては8番なんで、だいたい145~150ヤードくらいですね。
T100Sアイアンの7番は31度なので150~155ヤードくらいですかね。T100みたいにロフトが33度もあると7番に見えないんですよ。Sの方が、7番アイアンという感じがします。クラブはロフトの見え方でかなり変わります。これは飛び系ではなく、僕にとってはノーマルかな。 打ってみます。161ヤード。ロフトの差って大きいでしょう?10ヤードくらい変わりますね。これは売れるぞ。7番で26~27度で170ヤード飛んでも、僕にとっては逆に使いづらいんですよ。7番アイアンは150~160ヤードくらいがいいですね。T100Sは、なにより顔が7番アイアンぽいんですよ。ちょっと下にあたっても155ヤード。これいいわ!僕はグースネックが好きなんで、実はT100を見たときに自分でロフトを2~3度立てたくなったんです。T100Sはロフトが2~3度立っています。うん、いい感じいい感じ。僕の年齢もありますが7番で34度はやっぱり寝すぎ。150~160ヤード打つには30~31度くらいがいいですね。平均して8ヤードくらい飛んでますね。
プロみたいにヘッドスピードが52 m/sとか53m/sとかあればT100でいいと思いますけど、ヘッドスピード43~48m/sくらいでプロと同じくらい飛ばしたい人にはT100Sがいいと思います。下手すると、ストロングアイアンを使ってるヘッドスピード40m/sくらいの人に7番アイアンの飛距離で負けますからね。8度もロフトが違えば、2番手違いますから。ドライバーは30ヤードくらい自分が前に行くのに、ショートホールであいつの7番アイアンより俺の7番アイアンは飛ばないのかと、スコアには関係ないですけどね、でもやっぱり気になるじゃないですか。それがT100Sになれば、ほどよいロフトです。僕はSはストロングロフトというよりは、ノーマルだと思うんですよ。T100のほうの名前をT100Pとかにすればいいんですよ。プロのPね(笑)。
せっかく用意してもらったのでAP2アイアンも打ってみましょう。ロフトが寝てますね。147ヤード。33度もあれば150ヤード飛ばないです。スピン量も多いですね。
T100Sアイアンは、ロフトの見え方がいい感じなんですよ。そんなに力まなくても158ヤード。これならストロングロフトを使ってる方に勝てます(笑)。勝ち負けではないんですけどね。僕の中で7番アイアンの飛距離は160ヤードいかなくてもいいけど150~155ヤードくらいは欲しいですね。長くゴルフやっていると、見た目の景色と自分の使いたい番手ってあるんですよ。ヘッドスピードが落ちてきても、150ヤードは7番で打ちたいですよね。飛ぶか飛ばないかよりも、自分の打ちたい距離を打てるロフトを選ぶ。
T100Sは、ヘッドスピードが43~48m/sくらいの人が155~160ヤードくらいという7番アイアンにとってのストライクゾーンの飛距離が打てるクラブです。もっとヘッドスピードが速い人、ドライバーでキャリー270ヤードとか打てる人はT100でいいと思います。アスリート系アマチュアゴルファーのボリュームゾーンであるヘッドスピード43~48m/sくらいで、7番アイアンで155~160ヤードくらい飛ばしたい、そういうゴルファーに向いているのがT100Sです。T100の後からT100Sが出るのは後出しじゃんけんみたいに感じましたが、この後出しじゃんけんは、おおいにあり!みなさんも試してみてください。
マーク金井 (プロフィール )
1958年9月16日生まれ身長183センチ、 大阪府出身、血液型A型。ゴルフ雑誌編集者を経てフリーに転身。これまで試打したクラブは1,000本を越える。豊富な知識とシングルの腕前でクラブの試打&レポートをゴルフ雑誌やネットで展開。