今回試打するのはヤマハのUD+2(ユーディープラスツー)。+2はプラス2番手の飛びという意味です。ヤマハは2年のサイクルで新製品が出ますので、今回は2年前のモデルと打ち比べます。UD+2といえばアイアンが非常に飛ぶということで大ヒットしましたが、ドライバーも簡単に飛ばせます。最近は調整機能のついたドライバーが多いですが、UD+2は非常にシンプルでネックは普通のスリーブです。新製品にはスリーブが付くのかな?と思いましたが、今回も非常にシンプルです。何も調整機能を使わなくてもいいということですね。
UD+2ドライバーで飛ばすためにはいくつかのポイントがあります。アマチュアの多くはスライサーです。球をつかまえるということをわかっていない方もいらっしゃる。芯に当たると飛ぶといいますよね。実は、芯に当たってもフェースが開いて当たったら飛ばないんです。ミート率1.49とか1.50が出るのはフェースがスクエア、もしくは若干閉じて当たった時です。若干ですよ、あんまり閉じて当たるとチーピンになりますから。Face to Path(フェイストゥパス)、軌道に対してフェースをちゃんとスクエア、もしくは若干クローズにすることが、球を飛ばす上では大事です。新作のUD+2ドライバーの特徴は、構えた時にフェース面とシャフトが、アイアンでいうところのグースネックです。正確にはフェースプログレッションといいますが、通常ウッドはフェースが前に出ますが、UD+2は凹んでいます。
フェースプログレッションを小さくすることで、まずつかまりがいい。見た目は少し独特にはなりますが、見た目よりもつかまりが大事。
もう一つの特徴が、重心アングルが大きい。重心アングルが大きいというのはつかまる。UD+2は球が左に行ったり、チーピンする人が使うクラブではありません!UD+2は前作もそうですが、使うゴルファーを決めているクラブです。
まずは旧モデル、僕はこのクラブけっこう好きなんですが、打ってみましょう。構えるとグースネックで、絶対に右に行かせないクラブですね。シャフトはかなりやわらかいです。打ってみます。うん、チタンならではの良い音!いい感じですね。40.9m/sで239.6ヤード。直進性がよくて、つかまるけど左に行かない。もう一回打ちます。ヘッドをインサイドから入れたら非常につかまります。打ち出し角度は12.5°と理想的、打ち出しが高くて低スピン。ヘッドスピード41.2m/sで247.0ヤード。はっきり言いますが、これは戦闘能力が高いです。2年前のモデルだから飛ばないんじゃないかと思っている方いらっしゃるかもしれませんが、全然そんなことありません。ゴルフパートナーでは前作がかなりリーズナブルに買えますので、やわらかいシャフトでつかまった球が打ちたいのであれば、旧モデルのUD+2ドライバーもおすすめです。
新モデルのUD+2は、ヤマハらしくないです。前作はすっきりとした楽器のようなシンプルなクラブでした。新モデルのUD+2は、クラウンもデコボコしています。個人的には顔はすっきりとした前作のほうが好きでした。でも、このデコボコをソールとクラウン両方に入れるということは、はっきりとしたアドバンテージがあるんでしょうね。
もうひとつ前作と違うのが、今までのシャフトにはinpresとロゴが入っていました。新モデルはフジクラのAir Speederが採用されています。今までのヤマハとは違いますよね。ヘッドの形は基本的には同じです。グースネックでヘッドがストレッチされているので重心深度が深い。シャフトはAir Speederなので、さらにしなる!バネみたいなシャフトですね。女性が使えるくらいやわらかいです。やわらかいシャフトは僕は実は好きです。絶対右に行かない感じですね。
打ってみましょう。いい音!チタンのいい音は前作と同じです。ちょっとインサイドから入れてみます。スマッシュファクター1.48出てますが、つかまりが良くなってる!球がつかまると軽く振って250.4ヤード、いい感じで飛びました。これも戦闘能力が高いです。
つかまって球が高い!シャフトがやわらかいので球が高く出ますね。打つのが楽しいドライバーです。ヘッドが走るので、力で叩くのではなく、クラブなりに振ればナチュラルにドローが出て飛距離も出ます。総重量が275グラムとかなり軽いです。軽いのでヘッドスピードが勝手に上がります。自分の中ではヘッドスピード40m/sで打っているつもりですが、クラブの軽さと長さでヘッドスピードが41.6m/sまで上がります。逆に軽いので、力任せに叩きに行ってしまうとUD+2の良さは出ないと思います。トップからしゅーっと体を使って力まないで振れば、クラブがいい仕事をしてくれて飛距離が出ます。
なにより、球がつかまって打ち出しがいい角度です。ドライバーショットは年齢を重ねると球が上がりづらくなりますが、新作のUD+2は球が上がりづらい人でも上がりやすいクラブです。インパクトゾーンでフェースがクローズになりやすいのでつかまったドローが打てる。右に行って飛距離が落ちている、こすり球で飛ばないという人はぜひ新モデルのUD+2ドライバーを試してください。
僕は旧モデルのほうが音は好きです。新モデルだと球がつかまりすぎる人にはひとつ前の旧モデルのほうが程よいつかまりになります。あんまりつかまりすぎないドローが打ちたい人には旧モデルのUD+2ドライバーがいいと思います。旧モデルも新モデルもUD+2はつかまえて飛ばすクラブです。新モデルはクラブの軽さでヘッドスピードが上がります。ヘッドスピードがあまり速くないアマチュアが、いかにしてつかまえて飛ばせるかを考えて進化しているクラブです。
続いて、アイアンを試打します!新作はポケットが深くて、より重心が深いです。フェースの色が少し変わりました。新作のほうが白っぽいのでアドレスした感じで一回り大きく見えます。シャフトも前作まではオリジナルでしたが、新モデルはフジクラのAir Speederです。7番を試打しますが、シャフトが長くてロフトが立っているので僕が普段使っているアイアンの5番か6番くらいです。
旧モデルのUD+2アイアンから打ってみます。うん、いい音。188ヤード!僕の5番アイアンのナイスショットより飛んでいます。UD+2はプラス2番手といいますが、プラス3番手くらい飛んでます。2年前のモデル、今でも十分戦闘能力が高いです。新しいモデル、作る必要ある!?トラックマン大丈夫??っていうくらいすごい数字が出ています。
ツアープロでも7番アイアンで188ヤードはなかなか飛ばないですよね?キャリーが172ヤード、キャリーが170ヤードといえば男子プロでも飛ぶほうですよね。これは新モデルの試打がやりづらいですね。
旧モデルでいい数字が出すぎて非常にやりづらいですが、新モデルのUD+2アイアンを打ってみます。
うわ~!!193.3ヤード!嘘でしょ~!!言葉が出ません。あまりにもすごいことが起こると、沈黙してしまいます。アイアンでスマッシュファクター1.44はすごくいいんす。ドライバー並みのミート率。旧モデルよりもさらにキャリーが出ています。178.5ヤード、キャリーですよ!
僕は5番アイアンでキャリー180ヤードを打ったことがありません。昔使っていた4番アイアンでキャリーが180ヤードなので、このクラブはUD+2って名前になっていますけど、ヤマハさんに提案があります。このモデルはUD+3でしょう。 コースに出て180ヤードのパー3を7番か8番か悩むという状況ですよ。
飛んだらスコアが良くなるというほどゴルフは単純なものではありません。ただ、7番アイアンで150ヤード打てていた人が130~125ヤードに飛距離が落ちてきたという場合、7番で何ヤード打ちたいかが重要ですが、昔の飛距離を出したい、アイアンで人より1ヤードでも前に出したい、という場合には非常に戦力になります。UD+2はドライバーもいい進化をしていますが、やっぱりアイアンを作るのがうまいし、とにかく飛ぶ! 飛ばすためにフェースを薄くして、打感よりも飛距離を優先しているクラブです。プラス2番手、僕の中ではプラス3番手の飛距離が欲しい方には、最新モデルのUD+2アイアンをお勧めします。
マーク金井 (プロフィール )
1958年9月16日生まれ身長183センチ、 大阪府出身、血液型A型。ゴルフ雑誌編集者を経てフリーに転身。これまで試打したクラブは1,000本を越える。豊富な知識とシングルの腕前でクラブの試打&レポートをゴルフ雑誌やネットで展開。